留学大図鑑

高原優

出身・在学高校:
静岡県立三島北高等学校
出身・在学校:
筑波大学大学院
出身・在学学部学科:
筑波大学生命環境学群生物資源学類
在籍企業・組織:

トマトの実のなる仕組みの解明

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)・農学・森林科学・水産・獣医・畜産
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • フランス国立農学研究所(INRA)
  • フランス
  • ボルドー
留学期間:
3か月
総費用:
600,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表プログラム」 680,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC735点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

筑波大学とのジョイントラボ(共同研究機関)であるINRAへ3か月の研究留学。以前にもINRAの同じ研究室へ2度、合計4ヶ月の研究留学をしていたため今回が3度目の訪問でした。過去2度の訪問で実験を終えることができていなかったため、以前の続きを行いました。
この研究でトマトの実のなる仕組みを詳細に解明し、効率よく安定的かつ安易に育つトマト品種作出が最終目標です。
フランスボルドーにあるINRAでは、酵素学的解析を網羅的に行うことができるプラットフォームが整備されており、複数のロボットや独自のデータベースを使用し、速く正確に主要な代謝に関する複数の酵素活性の定量が可能です。これにより、トマト果実発達初期における果実内の詳細な変化を調べることができました。
日本からトマトの実験用サンプルを送り、現地でプラットフォームを利用させてもらうことで、日本ではできない実験を実施しました。今後、私以外の人が訪問することになった場合に備え、実験方法を日本語でまとめることも今回の目的の一つでした。

留学の動機

INRAでのやり残りをどうにかしたいと考えたものの、国内では満足な設備がなく、フランスに戻るしかありません。
また、家計の都合により修士2年の後は就職することを学部時代から決めていたため、再び半年や1年の留学をすることは難しく、研究室からの支援もこれ以上は受けられない状況でした。その時トビタテに出会ったため、応募しました。

成果

これまでは、トマト着果時の詳細なメカニズムを示したデータがありませんでしたが、今回得た実験結果によって、その一部が明かされようとしています。今はまだ投稿論文にはなっていませんが、この分野で権威あるINRAのボスからは「非常に良い結果だ」という評価をもらいました。本データを利用して、将来より収量の多い、簡単に育つトマト品種の作出につなげられると期待しています。

ついた力

困難に打ち克つ力

以前の訪問時は、現地にポスドクがおり、普段から直接指導をしてもらえる環境が整っていましたが、今回は超多忙なボスしかいない状況でした。そのため、悶々とした時期もありました。ビジターでありながら自分が実験に最も詳しい人材でもあったため、他のビジターから指導を求められた時もありました。ただし、自分が教えるからには彼らにも助けてもらう協力関係を築き、次第に交渉もうまくなり、限られた期間で成果をあげました。

今後の展望

留学は仕事に対する姿勢と日々の生き方を見直すとてもよいきっかけになりました。フランスでの研究の日々は、ONとOFFがはっきりとしており、より集中して取り組むことができたと感じました。時には無理をしてでも頑張らなければならないこともありますが、今後は日本でもできる限りOFFをしっかりと作り、ONのときの研究をより集中して日々を楽しんでいきたいです。

留学スケジュール

2016年
9月〜
2016年
12月

フランス(ボルドー)

トマト着果時における主要代謝に関連する酵素活性の変化を調べ、トマト着果メカニズムの解明を行うべくフランスへ行きました。訪問先の研究所には、この分野で権威ある博士がいるだけでなく、日本にはない実験プラットフォームがあります。この設備を使わせてもらい、トマトの着果メカニズムを解明することで、農業従事者の減少および高齢化の中でも簡単に大量なトマトができるよう研究を行いました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

24,500 円

生活費:月額

60,000 円

項目:旅行・おみやげ

35,000 円

INRAの研究室の自動液体分注ロボ。これで実験していました。

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

クリスマスが近づいたボルドー
友人の家を訪ねた時の夕日

働くこと、生きることについて強く自分の考えを揺さぶられました。
以前のパリのテロの影響もあって、19時には研究所全体の明かりが消え、ごく一部の人以外は出入りが不可能になる場所に日々通っており、当然土日は入れませんでした。この環境が働き方や休日の使い方(OFFの過ごし方)を就職前の自分に教えてくれました。
研究所の人たちを見ていて思ったのは平日は(週末や休日のために)頑張って働くという感じです。普通の職場でもあるので、日本の大学の研究室(学生がたくさん)とは本当に色々違いました。17時を過ぎるとちらほら帰りはじめる人が出て、金曜日は多くの人がそうでした。自分の時間や家族との時間を大切にしていたのでしょうか。
郷に入っては郷に従えということわざがあるように、私も研究所のシステム(19時までに出る)を守り、休日はフランス各地にいる友人を訪ねて気分転換をしてみました。すると自然に生活リズムが良くなり以前より平日の気分がよく、実験に集中できました。同時に、平日と休日どちらも楽しんでいる実感がありました。日本で休日も実験をしていた時には抱いていなかった感情です。
ONをより良くするにはまずはOFFから見直す。過労死とは無縁のフランスで貴重な学びがありました。自分の中で理想的な働き方を見つけることができたので、就職後も努力をして理想的な生活を送りたいです。

現地SIMカードは格安(かもしれない)

  • 生活 : 携帯

以前にフランスに行ったときは日本からスマホを持っていきましたが、SIMフリー機種ではなく、たまに拾えるフリーWi-Fiを使う以外では使用不可能でした。
そこで、現地でSIMフリー機種を約2万円で購入し、月額19.99€という安さで4G回線が50GBまで使え、通話も可能なfreeという会社のSIMカードを購入(お店の中に自販機があって簡単です)して使用していました。私が滞在していた研究所のゲストハウスはネット環境が無く、自分のスマホなどの機種で現地のネットを拾える状況にしなければ、パソコンがあっても何もできない状況でした。50GBまで使えたので、テザリングを利用してパソコンでもネットが使える環境にすることができました。

留学先でOB訪問も可能

  • 帰国後の進路 : 就職(企業)

留学前、日本にいるときに企業の現地で働く人の情報を得ておくと、現地にいる方とスムーズに面会することができる場合があります(企業によると思いますが)。私はある企業の方と留学前にOB訪問のような形でお話しする機会があり、その時に留学の話をしたところ、現地で働く日本人社員を紹介してもらう事が出来ました。
留学中にメールでやりとりし、現地で社員の方と会って話を聞けたため、企業の海外での事業方針などがわかりました。将来日本の企業に就職し、海外にも行ってみたいと思う方は、私のようなやり方で企業研究をすると、日本にいてもわからないこと、情報が手に入ると思います。将来像を描くこともできるようになるので、可能な方は是非。

留学前にやっておけばよかったこと

日本の文化や歴史を、英語で伝えられるようになっているべきでした。自分たちのアイデンティティを構築している基礎にはその国の文化や歴史が深く関わっています。これらをしっかりと理解して英語で伝えることができていれば、私を、日本(人)をより深く理解してもらうことができたのではないかと思っています。

留学を勧める・勧めない理由

色々なことに気付くことができるようになるので、私は留学を勧めます。日本で普通に生活していても気づかないことに、海外に留学して初めて気づくことがたくさんあります。今私は日本はとても便利だと思いますが、それは例えばフランスでは夜遅くや日曜日の午後はお店が閉まることを知っているからです。比較して初めてわかる良さや改善すべきところが見えるので、多くの人に留学をしてもらいたいです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

人生経験が全てで、たくさん取り組んで失敗して、そこから成功するための方法を学びます。失敗した経験の少ない人は成功へのアプローチの方法が限られ、パターンが少ないために、いずれ壁にぶつかった時に困ってしまします。留学は、とんでもない量の失敗する機会を与えてくれるはずです。その経験が人生を豊かにし、自分で考える力を与えてくれます。いつでも遅いことなんてありません。思い立ったが吉日です!